涙の雨
付き合い始めてから
二人の時間を過ごすのは
いつも望月の家だった
ゲームをしたりDVDを見たりする
外に遊びに行ってもいいけど
学校の人に見つかるとさすがにヤバい
でも時折、車で江ノ島とか横浜とか連れてってくれる
みんな初めて行く場所だったから
かなり興奮していた
江ノ島水族館にも行ったし
山下公園で鳥にエサもあげた事もあった
だけど誕生日の日は
ずっと望月とイチャイチャしたかったから
家を選んだんだ
「遼太の事だから、どっか遊びに行きたいって言うかと思ったよ」
そう言いながら部屋に入る望月
俺もその後に続く
寝室に広いリビング
たしか本がたくさんある部屋もあったな
台所も綺麗に使っていて
特にお手製のオムライスが最高に美味い
「出かけてもいいんですけど、人混みはちょっと苦手で」
俺はヘヘへと笑いながら言った
そんなのは嘘
―本当は尚輝さんをずっと見ていたいから
なんて言える程
当時の俺は大人じゃない
本当の気持ちは
まだ胸に閉まったまま