涙の雨
「…大丈夫?遼太」
望月の唇がこめかみに感じる
俺はボンヤリとしながら
望月の腕枕で寝ていた
「はい…大丈夫…です」
お互い裸のままベッドに横たわる
上からタオルケットをかけたまま
「やっぱり痛かった?…初めてだから、俺も少し手加減したつもりだったんだけど」
「…あれで手加減なんですか?」
お尻辺りに違和感がまだ残ったまま俺は言った
「本気出したら、遼太の体壊れちゃうかも」
望月は笑いながら言うと
俺をギュッと抱き締めてくれた
―あったかいな…尚輝さんの体
人肌があんなに温かいなんて
初めて知った
胸板も広くて、腕や指先も長い
俺はこんな綺麗な体に抱かれていたんだ
「…尚輝さん」
「ん?」
俺は望月の腕の中でボソリと言った
「俺…今すごい幸せです」
それしか頭に浮かばなかった
まだ、産まれて十三年しか生きてないけど
あの瞬間は本当に幸せに感じていた
「遼太…愛してる」
あの頃の俺に“愛してる”なんて似合わないけど
心の中では
好きよりもっと深いんだなって事だけは理解できた