涙の雨

いじめ


ホントにそれは突然の出来事だった












「…遼太」
「ん?どうしたの、賢二」

賢二が小声で俺に声をかけてきた

表情はとても難しい顔をしている



「お前…何かやったのかよ?」

「―へ?」




あれはたしか…十一月の中旬ぐらいだったと思う


忙しかった文化祭がやっと終わって

通常の授業に戻った時だった



「どうしたんだよ、賢二。そんな引き攣った顔してさ」


授業の間にある休み時間

俺に近寄ってきた賢二に笑いながら言った




「三年の先輩が…遼太を呼んで来いって」


その言葉の意味がわからなかった俺は
どういう事?と聞き返した

「先輩達、今廊下で待ってる」



いつも元気な賢二の顔が

異常な程こわばっていた




その姿に俺は

嫌な予感がしたんだ




鼓動が急にドクンドクンと動き出して

手に汗もかいていた



凄い怖かったけど

俺は椅子から立ち上がり廊下に向かう


そして教室から出ると




廊下にいた四人組の先輩達が俺をジロリと見た


「お前が伊藤遼太?」

「あっ…はい…」


全身が一気に固まる俺




「話があんだよ、少し付き合え」
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