涙の雨
その時、みぞおちに運悪くボールが当たった俺は
お腹を抱えてその場にうずくまってしまった
―何で…俺がこんな…
辛くて泣きそうだったけど
ここで泣いたら余計に馬鹿にされると思った
だからグッと涙を堪える
そしてようやく終わると
先輩達は何も言わず、その場を立ち去って言った
俺はなかなか動けなくて
ついに座り込んでしまった
「いってぇ…」
至近距離から頭にも何発か当てられ、少しグラグラしてる
お腹も苦しくて思わず咳き込んでしまう始末だ
―何で山田先輩と仲良くしたぐらいで
こんな事されなくちゃいけないんだよ
そう思いながら
ボールが当たった目元を強く押さえる俺
周りにはバレーボールが散乱していて
みんな俺の近くに転がっていた
今までいじめられた経験が無い俺は
今自分が置かれている状況を、うまく理解出来なかった
とにかくお腹と目元が痛かったけど
授業に遅れるとマズイと思った俺は
何とか立ち上がって
中腰になりながら体育倉庫を出た