涙の雨
「―大丈夫かよ遼太!?」
教室に戻ると
賢二が一目散に近寄ってきた
その光景に、周りにいたクラスの友達の視線が
一気に俺に注がれる
「目のまわり真っ赤じゃんか!?先輩に殴られたのか!?」
顔を覗き込む賢二に
俺はうつ向いたまま顔を背けた
「大丈夫だよ、こんなの」
「―大丈夫な訳無いだろ!保健室行こう!?」
まだ目の辺りがヒリヒリしてた
お腹はさっきよりはマシになってたけど
まだボールが当たった違和感が残っている
「ホント、いいから」
俺は賢二の横を通り過ぎ
自分の机に戻って椅子に座る
そして両腕をクロスした中に顔を埋めた
さっきまでシーンとしていた教室が
また再び賑やかになる
みんなに見られて恥ずかしいのと
どうしようもない体の痛みで
俺はジッと目を閉じて我慢していた
―保健室に行ったら
絶対尚輝さんに何か言われて
こんな姿見たら
余計に心配かけちゃうよ…
その日は保健室には寄らず
家に帰っても普通に望月と電話して
何とか一日を終えた