涙の雨

―プルルルッ!


なかなか出ない電話



今頃だったらまだ学校かな?

それとも車に乗って家に帰ってる途中かな?




呼び出し音を聞きながらずっと考えていた





『―もしもし?』





その瞬間

望月の声が電話の向こうから聞こえてきた




「―あっ!俺…ですけど…」



何故か緊張した


鼓動もドクンドクンいってる





「あ…あのメール今見ました。寝てて気づかなかったんです、すみません…」



少し落ち込み気味で話すと





『ごめんね、遼太』






望月が突然謝ってきた



「そんな…尚輝さんが謝る事なんて」


『俺が昨日、異変に気がついてやればよかったんだ。遼太が痛い思いをしてたなんて、全然わからなかったから…』





その言葉に


胸がギューときつく締め付けられた





望月は何も悪くないのに



悪いのはみんな俺なのに…





『後藤に全て聞いたよ。三年生からイジメられたんだって?』

「あ…」




望月の優しい声が

心にジーンと響いてくる





『…痛かっただろ?』



―今までずっと我慢してきたのに

尚輝さんの声聞いたら、俺…





『…辛かっただろ?遼太』
< 72 / 195 >

この作品をシェア

pagetop