涙の雨
「つら…か…ったです…」
ポロポロと涙が溢れてきた
「痛か…ったし…怖かった…!」
ずっと我慢していた緊張みたいなものが
望月の声を聞いたら
途端に崩れて溢れ出したんだ
たぶん初めて安心出来たからだと思う
『大丈夫だよ、遼太。もう怖くないから』
「うん…っ」
―尚輝さん
尚輝さん…
言葉に出したくても
涙で上手く声が出なかった
あんなに泣いたのは
小三の時に飼っていた猫が死んだ時以来かも
拭いても拭いても涙が止まらない
鼻水もダラダラ出てくるし
息もつい荒くなってしまう
俺は携帯を持ちながら
自分のパジャマの袖で鼻水を拭いてた
『後は俺が何とかするから、遼太は何も心配しなくてもいい。だから明日、学校来てくれる?そうじゃないと遼太に会えない』
本当は次の日も休むつもりだった
仮病でも何でもいいから
学校には行きたくなかったんだ
でも望月に言われたら
断わる理由なんて俺には無い
『明日…待ってるから』
―学校に行くのは勉強するためじゃない
尚輝さんに会いに行く為だ
そう心に決めた