涙の雨

後日、あの先輩達が俺の元にやって来て

頭を深々と下げた





“羨ましかった”





それが俺をいじめた理由だった


先輩達はバスケ部の部員らしく

山田にずっと憧れていたが、話すキッカケも仲良くなるタイミングも逃し



ただ遠くから

山田の姿を眺める事しか出来なかったらしい





そんな時に突然俺が現れ

自分達の前で仲良く話す姿を見ていたら




無性に腹が立ったと俯きながら話していた






教室の一角で教育指導の先生立ち会いのもと


四人の先輩達は

すみませんでしたと俺を謝る





たぶん望月がこの事を先生に話したんだと思う



俺の痣は若干残っていたけど

痛みはすっかり消えている






「…もう大丈夫ですから」


それしか声をかけられなかった



本当はもっと強く出てもよかったのかもしれない





だけどちゃんと謝ってくれたし



何よりいじめた理由がハッキリとわかっただけで



俺はよかったと思ってる








今だからこう言えるけど


“イジメ”なんてする方もされる方も




いい気分は絶対にしない







お互い何かしらの傷を負ったまま



日々を過ごしてるから
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