涙の雨
すれ違い
「寒っ!」
季節は冬へ
十二月の中旬、朝から冷え込みが厳しくて
白い息が外を歩く度に出る
紺のダッフルコートを来て
黒いマフラーと手袋
完全装備をしても
冷たい空気が体を刺激した
「遼太~おはよ~!」
学校へ向かう道を歩いていると
後ろから賢二が近寄って来た
「朝からテンション高いな~賢二は」
「そうか!?」
笑いながら俺の背中を叩く賢二
そして学校の門をくぐり
下駄箱へ向かう俺達
上履きに履き替えて
教室に繋がる階段に向かって歩いていると
望月とバッタリ会った
「おはようございます」
声を揃えて挨拶をした俺達に
おはようと笑って言った望月
「相変わらず仲がいいね、二人は」
優しい声で話す望月に
「俺達ずっと一緒ですから!な、遼太!」
「―えっ!?」
賢二は満面の笑みで俺に聞いてきた
そして突然のフリに驚く俺
「あっ…うん…」
とりあえずその場をやり過ごす為に
俺は望月の顔を申し訳なさそうに見上げて言った
「―それじゃ」
ニッコリ笑う望月
だけど
目は笑っていなかった