涙の雨

キス


あれからずっと忘れられなかった



望月としたキス



抱きしめられた時に感じた
香水みたいないい香り




家に帰ってから

自分の部屋でずっと思い出していた



―なんかドキドキする





思い出すだけで

バカみたいに心臓がドキドキしてる



「どうしちゃったんだよ…俺」



ベッドの上で一人丸くなって

一人悩んでた




相手は男だぞ?



男なのに…―!




たしかに小六の時

同い年の子からバレンタインデーに
チョコを貰った事があった


結構可愛い女の子で

周りの友達は羨ましがってたけど



俺は正直何とも思わなかった


逆に仲のよかった男友達から貰った


十円ガムの方が

何百倍も嬉しかった





女は…

昔から好きじゃなかったのかもしれない



幼い頃から母親を近くで見てたから

女のイメージが変な風についちゃって




学校にいるときは

いつも男友達としかしゃべらなかったし



男友達としか遊ばなかった


でも男を好きになった事は
一度も無い



そういう目で
見たことも無かったから



この事で当時はかなり悩んでた
< 8 / 195 >

この作品をシェア

pagetop