涙の雨

でも逆に

望月と会わなくてよかったのかもしれない



あの時の俺は凄い傷ついてたし

内面的にも外見的にも
しんどかったから



俺と望月の間には

キチンとした“愛情”があったつもりなのに



とにかく脱力感でいっぱいだった




幸いな事に誰も保健室には来なかったし

たぶんバレてなかったと思う


俺のいやらしい声も

必死になって抑えてたから




頭では嫌だって思ってたくせに


望月の愛撫に結局勝てず、そのまま最後までしてしまった



たしかに
気持ち良かった事は認める

だけど



こんな場所でするなんて…



―尚輝さんは…バレても構わないのかな




生徒といやらしい事をしたと
学園長の耳に入ったら、学校を辞めさせられるかもしれない


なのに…―





虚しさだけが俺の中に残る

ふと壁にかけられた時計を見ると
授業まであと何分も無い




俺は慌てて保健室を出ようとしたが


その時、望月のデスクの上にあった灰皿が見えた




さっきよりも格段に

吸い殻の量が増えていた
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