涙の雨
「男子校ってそういう人間、多いらしいぜ?女と会う機会無いし、周りが男ばかりだと簡単に好きになるって。たぶんうちにもいるんじゃね?ゲイが」
息を飲むって言葉は
まさしくあの時の自分を言うんだ
心臓がバクバク動いて
手に脂汗がじんわりにじんでくる
「俺には一生わからない世界だな~!間違っても男を好きになんねぇな」
ハハハと笑いながら話す賢二
俺は
下に俯いたまま気づくと
その場に立ち止まっていた
「どした~遼太?」
二、三歩先を歩いた賢二が振り返り俺を見つめる
「あ…ううん、何でも無い」
俺は笑みを無理に作って
賢二の後をついて行った
―違うんだ
やっぱり同性愛者って
他の人と違うんだ
同性を好きになる事に
嫌気をさした訳じゃない
だけど
ゲイって普通の人と少し違うんだって
改めて気づかされた
もし自分が同性愛者だとバレたら
俺は
生きていけないかもしれない
そう思った