涙の雨

「遼太、最近元気ないな…?」


ある日の下校途中、一緒にいた賢二が声をかけてきた

「あ…そんな事無いよ!俺、元気だしっ!」



わざと元気なフリを見せる俺



たしかその日は

夕方になってから突然雨が降ってきて



俺は賢二の傘で相合傘をしていたんだ



「もしかして…望月先生に何かされたか?」


「えっ!?」



コントみたいな驚いたリアクションに

賢二は目が点になっていた




「やっぱりな…何か怪しいと思ってたんだ」


溜め息をつきながら

賢二は言った




「…望月先生噂によるとバイらしいぜ?」


バイの意味がわからず

賢二に意味を聞くと



「男も女も好きって事。遼太みたいな子は、ヒット中のヒットだろうなぁ」


―男も女も好き…







だからあの時

あんな事をしたんだ




俺はまた一人で悩んでしまった


きっと女みたいに見えたからだ




女だから


ああやって意地悪してたんだ






そう考えたら


心がズキンって痛くなった
< 9 / 195 >

この作品をシェア

pagetop