涙の雨
「遼太、最近元気ないな…?」
ある日の下校途中、一緒にいた賢二が声をかけてきた
「あ…そんな事無いよ!俺、元気だしっ!」
わざと元気なフリを見せる俺
たしかその日は
夕方になってから突然雨が降ってきて
俺は賢二の傘で相合傘をしていたんだ
「もしかして…望月先生に何かされたか?」
「えっ!?」
コントみたいな驚いたリアクションに
賢二は目が点になっていた
「やっぱりな…何か怪しいと思ってたんだ」
溜め息をつきながら
賢二は言った
「…望月先生噂によるとバイらしいぜ?」
バイの意味がわからず
賢二に意味を聞くと
「男も女も好きって事。遼太みたいな子は、ヒット中のヒットだろうなぁ」
―男も女も好き…
だからあの時
あんな事をしたんだ
俺はまた一人で悩んでしまった
きっと女みたいに見えたからだ
女だから
ああやって意地悪してたんだ
そう考えたら
心がズキンって痛くなった