涙の雨
「風邪、引いちゃうね」
そう言うと
自分がしていたマフラーを外して
俺の首に巻いてくれたんだ
「尚輝さんが寒くなっちゃいますよ」
俺が心配そうに言うと
気にしないでと俺を見つめながら笑ってくれた
マフラーには望月の香水の匂いがついていて
俺は一人
ドキドキしながらコーヒーを飲んでいた
「急に…呼び出してごめんね。遼太の声が聞きたくなってさ」
望月は下にうつむきながら、喋り出した
「最近すれ違いみたいの、多かっただろ?その原因はみんな俺だから、遼太に申し訳なくて…」
「―そんな事無いです!」
俺はとっさに声を上げた
「そりゃ…多少傷ついた事もあったけど、みんながみんな尚輝さんが悪いだなんて思ってないです!」
俺が必死に望月に伝えると
ありがとう遼太と言って頭を撫でてくれた
「でも、もう少し時間をかけて遼太を大切にしていれば、傷つける事なんてなかったんだよな」
淋しく笑う望月の顔が
俺に嫌な胸騒ぎを教えてくれる
「焦り過ぎたのかもしれない、俺が」