涙の雨
第3章
痛む傷口
“別れよう”
望月から言われた一言
俺は呆然としたまま望月を見つめていた
「俺の事、嫌いになったんですか?この前尚輝さんに、あんな事言ったから…?」
「―そうじゃない、俺がみんな悪いんだ」
望月はそれ以上何も言ってくれない
別れたい本当の原因すら
「この前の事は、ちゃんと謝ります。だから別れるなんて言わないで下さい!」
必死に望月を説得する俺
不安で不安で仕方なくて
空になった缶コーヒーを隣に置き
望月の腕を掴みながら話してた
「遼太をこっちの世界に連れ込んだのは俺のせいだし、遼太はまだ若い。ちゃんとした恋愛に出会うべきだよ」
望月は真顔で俺に言った
「―ちゃんとした恋愛?じゃ今までのは遊びだったんですか?好きとか、愛してるとか言ってくれたのは嘘だったんですか!?」
こんな事言いたくないのに
口が勝手に動いてしまう
本当は聞きたくないのに…
俺の言葉に望月は黙ったまま俯いていて
暫く考え込んでいると
ようやく口を開いた
「遼太の…思うようにとっていいから」
その横顔はどこか辛そうに見えた。