涙の雨
「おはよ!遼太」
学校の終業式
朝から賢二は元気だった
「どした~?随分テンション低いじゃん」
机の椅子に座る俺の顔を
覗き込みながら言った
「別に…」
俺がボソリと言うと
終業式が始まる体育館へ一緒に行こうと誘ってくれた
体育館に向かって賢二と廊下を歩いていると
目の前に白衣を着た望月が立っていた
―尚輝さん…
心臓がドクンと大きく動く
望月は俺には気づかず
他の生徒達と楽しそうに仲良く話していた
時々、一人の生徒の頭を撫でたりしてた
―痛い
胸が…痛いよ
心臓がギュッと強く締め付けられ
俺はその光景から思わず目をそらす
笑っている望月達の声が
嫌でも耳に入ってくる
いつもなら
すぐに俺の姿を見つけてくれて
声をかけてくれるのに…
ワザとなのか
それとも
本当に気づかなかったのか、俺にはわからないけど
望月の横を素通りしても
俺に声をかけてくれなかった