涙の雨

―夢だったらよかったのに



望月と別れた後も

ずっとそう思ってた






終業式が終わって一人で家に帰る俺




本当は望月のマフラーをしたかったけど

未練がましいかなと思ってワザとつけてこなかった



空はどんより曇っていて

風は相変わらず冷たい




暫く歩くと駅に着いて、定期で改札を抜ける



階段を上がって人がまばらに立つホームに

一人ポツンと立った






―もう…俺の事嫌いなんだ

だから無視したんだ




俺は俯いて深いため息をついた



俺はまだ望月を忘れられなくて

ずっと望月の事だけを考えていた



部屋にあるパンダのぬいぐるみをジッと眺めたり



恥ずかしい話、あのマフラーの匂いを嗅ぐだけで

エッチな気分になってしまい




自分自身どうしようもなくて

ヌイタ事もあった




ホント今考えたら、バカみたいだけど




それぐらい望月と別れた事が
自分にとってショックだったし



苦しくて仕方なかった





人ってこんな簡単に
誰かを嫌いになれるのかなって


ずっと考えてたんだ
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