涙の雨
山田は首にマフラーを巻いているだけで
ブレザーにシャツ姿
「先輩…寒くないんですか?」
見てるこっちまで寒くなってくる
「マフラー巻いてっから、俺は寒くねーの!」
そうヘンに言い切る山田が
無邪気な少年に見えて
ついプッと吹き出してしまった
「何笑ってんだよ、遼太ぁ!」
「だって先輩って体は大人なのに、子供みたいな事言うんだもん」
笑いながら話すと
恥ずかしそうにうるせぇと言って
自分の鞄で俺の頭を軽く叩いた
「たっ叩かなくてもいいじゃないですかっ!」
「バーロー!そんなつまんねぇ顔してたら、喝入れたくなるだろうよ!男にフラレたぐらいで、メソメソしてんじゃねぇ!」
山田の怒鳴り声のような声がホームに響く
俺はその勢いに
つい黙り込んでしまった
「…何があったか知らねぇけど、尚輝が遼太をフッたのは事実なんだろ?だったらそれを受け入れるしかねぇじゃねぇか。落ち込んでたって…、何も戻ってこねぇんだよ」
山田の鋭い言葉が
俺の胸に出来た傷を更に深くさせる