White Green
僕はなるべく自然に
「よう、久しぶり」と言った

絵里は笑顔で「おっす」と男みたいに応えた

僕には無理矢理笑顔を作っているように見えた

10分くらい世間話をした、今は専門学校に行ってるらしい

絵里について得た情報はそのくらいだ

すると車の眩しいヘッドライトが僕らを照らした

ライトに照らされた絵里を見ると

まるで眩しくない様子で、一点を見つめていた

その目にはうっすらと涙の膜が張っていて、今にも零れてしまいそうだった

全ての悲しみを背負ったような眼だった

重たすぎて、零れてしまいそう

これくらいの年齢の女性は色々男には解らない悩みを抱えてるのかな

そんな事をボーと考えていると

「プッ」とクラクションが鳴った

車の正体は修だった

僕は絵里に「じゃあな」と言い修の車に乗り込んだ

一瞬絵里は僕に何かを言おうとしてたように見えた

だが直ぐに笑顔で手を振った

それと同時に僕の携帯が鳴った、母からのメールだった『ごはんたべるなら、れいぞうこのものかってにたべてください』
との事だ

変換の仕方が解らない母からのメール…
暗号かと思った

僕がその暗号を解読している間

修は車の窓を開けて絵里と何か喋っているように見えた

暗号を解読し終えると車は走りだした

ふと外の絵里を見ると、ジュースも買わずに家の方へ歩いていった

痴呆の伯母がよく似たような行動をとっているのを思い出し、少し心配になった。

< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop