Sin(私と彼の罪)
その漆黒の瞳を、どれだけ憎いと思っただろう。
「コラ」
キツイ声で咎めれば、だるそうにこちらを向いた。
「あ?」
それでも返事をするから可愛いものだ。
「そこは、私のお気に入りなの。どけ」
「…うるせーな」
かちん。
だから、いつも思う。
ここは私の部屋だ。
なのにこの男はいつだって私より偉そうに居座っている。
「あんたいっつもとるじゃん!返せ」
「あーもう、耳元でうっせーなあ。わかったよ」
あら、素直。
珍しいこともあるものだ。
そう感心していると、私はあっという間に彼の腕のなかにいた。
「……あの」
「あ?」
あ、じゃなくて。
腕を怪力でひっぱられて、バランスを崩した私はぐったりと彼にもたれ掛かっていた。
意外とたくましい胸板が目の前にある。
「なんだよ?」
「……」
彼が喋ると、喉仏がセクシーに揺れる。
ごくり、唾を飲んだ。
「言えよ」
「…離しなさいよ」
言ってから後悔する。
精いっぱいの睨みをきかせたのに、その薄い唇は器用につりあがるだけ。
「離さねえよ」