Sin(私と彼の罪)
「だからっ!関係ないじゃない!」
「ああ?」
「私が誰に送られようが、アンタには関係ない!」
途端に怒りを爆発させた私を見て、ゼンの眉間のシワもより深くなる。
「うるせーな。いいからお前は飯作って待ってりゃいいんだよ!」
「私はアンタのお母さんじゃないっつーの!」
「誰も母親になれなんて言ってねえ」
「あんたよ!あ、ん、たっ」
ゼンの舌打ちが聞こえた。
「喚くな。うるせー」
ぐいっ
不意にゼンが一歩近づいて、私の腕を掴んだ。
「痛っ…」
その強さに力では適わないことを思い知らされる。
拘束された腕をいいことに、ゼンは私との距離を縮めた。
「何よ」
「男に送られるくらいなら、俺に連絡しろ」
有無を言わせないゼンの漆黒の瞳に自分が映る。
嫌でも目に入る端正な顔立ちに、苛立ちが増す。
こいつは、私にないものをたくさん持っているのに。
それでも私を縛ろうとする。
「…ヤダ」
彼の瞳の中の私が、歪んだ。
「しろよ」
「い…」
嫌、と言おうとして留まる。
どうして。
どうして。
…そんな顔、するの。