Sin(私と彼の罪)
「ゼン…」
激しく降り注ぐキスの合間に、喘ぐように彼の名前を呼ぶ。
ゼンに触れるたびに、まるで自分の心を一枚、一枚剥がされるかのような痛みが引き起こった。
甘く、苦しい痛み。
穏やかに私の頬を伝う雫を見て、それを唇で拭う。
やがてゼンの唇は私の喉をゆっくりと舐め上げた。
「っは…」
私は自分の息が上がるのを、聞いた。
そんな私の反応を快く思ったのか、ゼンの動きが大胆になっていく。
私を一度抱きなおすと、Tシャツの中に手を入れられる。
彼の大きな角ばった手のひらが、私の背中をやんわりと撫でまわす。
そのまま裾を捲くられて、露になる私の身体。
そこまでされて、私はやっと羞恥心を取り戻した。
「だ、だめ」
我ながら情けない声で咎めるが、ゼンはまったく聞く耳を持たない。
その間も私の胸に顔を埋めながら、背中を撫で続ける。
忙しなく湧き上がる快感に、喉を詰まらせながら抵抗する。
その度に彼の唇が私を責めるように、激しく求められた。
足元のお湯と、彼から与えられる熱で、私の頭は沸騰しかけていた。
朦朧とする意識のなか、自分の身体がさっきのように宙に浮いたのを感じた。
さっきと違うのは、私が進んで彼に抱きついていること。
そして、自分が服を着ていないこと。
「…っ!?」
慌ててゼンの腕を抜けようとするが、彼はそれを許さなかった。
「バカ。落ちるぞ」
「だ、だって…服!」
「黙って」
「んん」
激しいゼンのキスで、縛られたかのように動けなくなる。
そんな私を見て、満足そうにほほ笑んだ彼は何故か…
何故か、悲しげで。