Sin(私と彼の罪)
「…ヨコイ、か」
小さくつぶやく。
スガヤの興奮が手に取るようにわかる。
この仕事を始めて以来の、大きなヤマだ。
そう直感した。
「そうさ。あいつらもいい度胸だ。裏切り者はどうやらヨコイの組織と内通しているらしい。奴らは諸星と接触をしている」
確かに。
ヨコイ達も軽率すぎないか。
まるでスガヤに楯ついているようだ。
今まではこんなにあからさまな敵対心など、なかったのに。
今になってこんなことが起こるとは、彼らは何を考えているのだろうか。
「で、俺の仕事は?」
「先にタキとヨージも潜入させてある。ヨコイとふたりのどちらかが手を組んでるはずだ」
「……そうだな」
「あいつらにはヨコイについて探れとしか言っていない」
スガヤの葉巻から、灰が零れる。
「でも、善。
お前はヨコイ、タキ、ヨージを全員見張っておけ」
「それで?」
「注意深く見張るんだ。
そして奴らが尻尾を出すのを見つけろ。どんな小さな尻尾でも見逃すんじゃないぞ」
「俺が尻尾を掴んだら?」
「すぐに、俺のところへ連れてこい」
もちろん、生きたままでな。
そう付け加えて、スガヤは煙を吐いた。
「ああ…わかった」