Sin(私と彼の罪)
「確かに俺は、組織に固執していない」
「ならば話が早いじゃないか」
ヨコイは自信に満ちた調子で、そう言う。
俺は淡々と話を進めた。
「スガヤのおっさんだって、大嫌いだ」
「私も嫌いだ。同じだなあ」
「ああ。そうだ」
「ならば共に奴らを倒そうじゃないか。そうしてもっと割のいいビジネスをしよう。お前ならどんなポストにも就ける。最高じゃないか」
政治家の虚構でまみれた演説を聞いているようだ。
そう思ったら、吐き気がした。
「ああ、最高だな」
「だろう?今よりもっといい待遇を用意してやろう」」
「それも、スガヤの組織でなくてあんたらの組織ならやってくれるだろうな」
「もちろんさ。スガヤみたいにケチ臭くはないぞ」
「そうかもな……でも、それだけだ」
俺はテーブルの足を持ち、押し出すようにヨコイ達目掛けて放り投げる。
そしてすぐに思い切り地面を蹴って飛び出した。
武装解除をした人間をしとめるのは、至極簡単なこと。
慌ててピストルを構えようとしたが、もう遅い。
テーブルから顔を出したそのコンマ一秒後に、銃弾を発した。
両手にピストルを持ち、確実に男たちの脳天をにぶち込む。
ヨコイはチ、と舌打ちをしたかと思うと後ろに下がり懐からピストルを取り出した。
すかさずその手に一発放つ。
ピストルは弾かれ、飛ばされた。
すぐにもう一人の男がヨコイをかばう形で俺にピストルを向ける。
目の端でタキが奴に、発砲したのが見えた。
だがそれは腕をかすっただけで、男は俺に狙いを定める。
もちろん俺はそいつが放つ前に、発砲した。
しかし、今度は脳天ではなく腹に当たったのでまだ男は動いている。
そして俺目掛けて銃弾を放った。
間一髪でよけたが、腕にかすった。
痛みに顔を歪める。