夏の夜に咲いた花
独り言に返事が返ってきたから驚いて振り返ると、Tシャツの胸元をパタパタさせて風を送っている蓮くんが立っていた。




「や、別になんでも……。蓮くんも、休憩?」

「そ」


畳にドカッと座った蓮くんを見て、あたしは麦茶をグラスに注いであげた。


「お、ありがと」




相変わらずパタパタさせながら、グラス片手に扇風機と向かい合う蓮くん。


「やっぱこの時間になるとあっついね」



あたしはぼんやりとその後ろ姿を眺めていた。
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