夏の夜に咲いた花
「じっと見てるから。何かついてる?」

「あっ、ううん! なんでもない。……あ、あたし、そろそろ戻るね」


見ていたことを気づかれて恥ずかしくなったあたしは慌てて立ち上がった。



パシッ

だけど、グラスを持った手をつかまれて。


「……あっ」

反射的にそのグラスから手を離してしまった。


空のグラスがゴトンと鈍い音を立てて畳の上に落ちる。



「れ……く、ん?」
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