都合のいい私
『リョウ?』


起こした方がいいのか


気付かない振りをした方がいいのかわからなくて


控えめに声をかけたけど


さっき大声で起こしたせいか


リョウが眠たそうに目をこすりながら私を見た


『……電話鳴ってるよ?』


『……ん』


携帯に手を伸ばしてディスプレイを見たリョウは


表情を変える事もなくそのまま電話を切った


『……誰だったの?』


そう小さく聞いた声は震えてる









『……ん?テツヤだよ』










衝撃的な嘘だった


それは《ユリ》の事を隠すための嘘で


リョウと《ユリ》の間には私に隠す何かがあると確信してしまう


でも怖くてその事を口に出せなかった
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