君がいる街





いろいろ文句は言ってやりたいが、怒らせればのちのち不利になるのはコッチなので、そこは黙って呑み込んだ。




大人しく、机の上に並べてある朝メシを食おうと、イスに座る。・・・なんか、餌付けされてるようでシャクだけど。








「・・・・あ、そういえば。」







目の前で、美味しそうな湯気をたてている味噌汁に手を伸ばした時、急に頭の中で、昨日の映像が流れ込んできた。




その映像とは、勿論彼女のことで。




結局昨日は、何となくあやふやのまま、桜の彼女は別れたのだけど。実は、あれからずっと、気になっていた。





俺の声に反応したのか、訝しく眉を寄せた基哉が俺の前に座る。





黙ってはいるが、なんとも面倒臭そうなその瞳が、一応続きの言葉を促していた。



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