君がいる街
「・・・昨日、変な女を見た。」
「変な女?」
「桜の木の下に突っ立ってた。長い黒髪の。・・・・ウチの制服じゃなかったけど。」
「・・・・それだけじゃ、何も解んねーよ。オラ、とっととメシ食って学校行きやがれ。」
「・・・・」
ああ。何でこうぶっきらぼうなモノ言いしか出来ないんだ、コイツは。優しい男がモテるなんて、俺はもう絶対信じない。
不貞腐れた目で、基哉を1睨みしてから卵焼きをつつく。その瞬間、おもいっきりムセた。
「〜っ!!」
辛いっ!!尋常じゃないほど辛いっ!!
舌が焼けつく様なこの感覚に、思わずコップに手を伸ばすが、すんでのところで基哉に奪われ、中身を全部頂かれてしまった。
コップをユサユサと揺らして、ヤツは勝ち誇った様に笑う。
「タバスコ。カレーよりもコッチがあうだろ?」
・・・・仕返しだけは、適当じゃない様だ。