君がいる街




「あざーっす!で、基哉くんがどうしたって?」


「聞いてたのか、人の話。それよりお茶。後で買って返せよ。」


「ああ。タバスコだったね。あ、キムチ味あるよ。食べる?」


「何でこのタイミングで辛い味チョイス!?っつーか、お茶っ!!」


「そんな軟弱な身体して。好き嫌い激しいのよ、アンタは。もうっ!目を離すと、すーぐポテチにかぶりつくんだからっ!」


「何っ、誰っ!?もう誰なのお前。っつーか、お茶!」





ガラっ。






叫んだ瞬間聞こえてきたのは、開く扉の音。


振り返れば、やる気なく教室に入ってくる基哉で。






この瞬間、もうお茶が返ってくることはないと、静かに悟った。




ああちくしょう。絶対アイツ今、後ろでほくそ笑みながら握りメシ食ってるよ。



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