君がいる街
「先生。僕が行きます。」
「いい。蔵が行くから。」
勝手出てきた委員長の宣言も、ものの3秒で却下し、ほら行けよ。と俺に視線で指図する基哉。
うん。とりあえずね。
一度、あの黒板の横に置いてあるでかいコンパスで、アイツの頭を殴ってやりたい。
つかさー、可哀想だろ委員長が。なんか、好きな子に告白して、振られたみたいになってるじゃん。軽く涙目になってるじゃん。
これ以上抵抗する気も起きず、イスから立ち上がった。ああもうホントに。今日は厄日だ。
歩き出した途端、引っ張られる学ラン。見れば、涙目の圭で。
「つ、ついでにっ。お茶、お茶買ってき、ゲホっ。」
「一生、詰まらせてろよ。」
何で普通に学校生活を送るのが、こうも難しいのだろうか。