君がいる街
さすがに、じっと自分の顔を見られているのに居心地が悪かったのか、沖島がゆっくりと目を開けた。
眩しそうな目を細めて、俺を睨む。
「・・・・何か、用か。」
「あらま。起きてらしたのね。」
なら、俺が来た時点で反応見せろよ。恥ずかしいこと口走ったら、軽く気まずいじゃねーか、バカヤロー。
からかう様な俺の口振りが気にくわなかったのか、沖島がムクリと体を起き上がらせた。鬱陶しそうな瞳で俺を見てくるソイツに、首を竦めて笑ってみせる。
あのね。俺だって好きで君に会いに来てませんからね。あのクソ教師のせいですから。
言いたいことは山ほどあるが、コイツを怒らせては俺の身が危ない。ヤツは、タバスコといわず、ハバネロだって普通の顔して食卓に出すだろう。
そこまで考えて、ぶるっと身震い。そんな俺に、訳が解らないとでも言いたげな沖島が、眉をよせた。