君がいる街
「じゃあ、軽く今日は転校生を紹介しまーす。」
いつも通り、やる気のない基哉のその声が教室に響いた途端、クラスがざわついた。
ああ、そういえば確かそうだったな。
思い出すのは、桜月って書かれた上靴。それと、あの拷問。
1日たった今でも、体の節々が痛い。
「じゃあ、入ってきてー。」
基哉のその声に合わせるように、自然と視線が扉へ移動する。転校生って、やっぱりどんなヤツか気になるモンだ。
ガラッとゆっくり開かれる扉。ゆっくりと、見え始める制服。
え・・・・
そして、次の瞬間。
あの、長い黒髪が。
目に、映った。