君がいる街
一目惚れ?いや、違う。絶対違う。人を見た目で好きになるような、そんなヤツなんかじゃない。
そう思うのに。
中々、この視線を外せないのは。
どうしてだろうか。
ボケーっと魂が抜けたみたいに彼女を見ていると。後ろからツンツンと背中をつつかれた。
振り返れば、目を丸くしている圭。
「彼女だったんだね。」
「は?」
「ほら。」
「紅くんが探していた、碧斗ってコ。」
・・・・そういえば。
『碧斗のヤツは、どこだ?』
蘇る記憶。沖島を見れば、まだ頬杖をついて、彼女を見つめていた。
・・・・じゃあ、沖島が今日ちゃんと教室に来たのは。
俺の言葉なんか、全然関係なくて。
あの子が、やって来るからだったのか?