君がいる街
なんとか遅刻を免れ、教室へと駆け込んだ。乱れている息を整え、自分の席を見れば、何だか楽しそうに会話をしている圭と桜月。
・・・・ドクン。
1つ、跳ねた心音に。気のせいだと言い聞かせる。
基哉が、あんな変なこと言ったから。気にしてるだけだ。
またふぅと息を吐き出し、自分の席へと向かった。
平常心、平常心。
心の中で、まるでお経の様に唱えながら席へと向かったのに。
「お、おはょう。」
彼女にかけた声は。
見事に、裏返った。