君がいる街





いや。いやいやいやいや。何時ものことじゃん、こんなの。女子にだって、普通に蔵って呼ばれてんじゃん。





なのに、何なんだよ。





この異常なまでの心拍数は。





固まった俺に、桜月が首を傾げる。やばい、やばいよ。何を言えばいいのか、何を話せばいいのか、全然分からない。




こんなのおかしい。俺じゃない。





まるで、自分を誰かに乗っ取られたかの様なこの感覚。意を決して口を開ければ、あの低い低温が耳に入ってきた。









「碧斗。ちょっと来い。」






俺たち3人。視線を向けた先。




済ました顔の、沖島がいた。




< 55 / 70 >

この作品をシェア

pagetop