君がいる街
「何よ、紅ちゃん。どうしたの?」
「いいから。来いって。」
首を傾げる桜月の手首を、沖島が握ってズイズイと歩き出した。そのせいで、桜月が転びそうになりながらも沖島について行く。
・・・・桜月の手首を握っている沖島の手。
碧斗と呼んだ沖島。
紅ちゃんと呼んだ桜月。
なんか、ソレら全部が束となって、ガツンと俺に襲いかかった。・・・うん。何か分かんねーけど。何かキタ。何これ、胸ヤケ?
「怖い顔ー。」
「は?」
にゅっと延びてきた人差し指。驚いて思わず目を瞑れば、眉間をツンツンとつつかれた。
目を開けば、ニコニコ顔の圭。
目潰しでも、されるのかと思った。