君がいる街






バサッと、音を立てて手帳が床に落ちる。ソレを拾うより先にゴメンッ!と相手の顔を見れば、驚いてる様子の圭だった。








「んだ、圭かよ。謝って損した。」


「どういう意味よ!・・・何コレ?」


「基哉の手帳。」





言いながら廊下を見れば、基哉の姿はもうなかった。




ああもう、追い付くのは無理だな。今日はアイツの授業もないし。昼休みにでも持って行こう。




律儀に、基哉に手帳を返すスケジュールを立て直していると、いつの間にか圭がその手帳を拾っていて。




興味があるのか、いろんな角度からソレを眺めてた。


アイツのスケジュールなんて、何も面白いことなんてないのに。








「あれ?何コレ。」


「あ。ソレは・・・・」








ちゃんと、挟んでいなかったのだろう。またはみ出してしまっていたらしいソレを、圭が取り出してしまった。




姉貴の、写真を。





< 62 / 70 >

この作品をシェア

pagetop