君がいる街
ああ、ヤバい。こんなこと基哉にバレたら、また拷問紛いのことをされる!
うん、口止め作戦で行こう。アレって、基哉くんの彼女〜?なんて、間違っても言わないように。
よし。と決心をして、圭を見る。だけどソイツは、俺の焦りなど微塵も感じ取ってなんかいなくて。
焦る訳でもなく。
からかう訳でもなく。
はしゃぐ訳でもなくて。
ただじっと、写真の中の姉貴を見つめていた。
圭のその横顔は、今まで俺が見てきた圭の、どの圭にもあてはまらなくて。
その、何故か悲しそうな視線が、
凄く胸に、痛かった。