君がいる街
初恋は、叶わない。そんな言葉、今まで気にしてなんかなかったのに。
「あのさ、桜月碧斗って子。可愛くね?」
「あ、俺も思ったー!」
もう、人気も少ない教室。忘れ物を取りに来たとき残っていたのは、他のクラスの男子と、ウチのクラスの男子。
忘れていた教科書をカバンに入れていた手が、その単語のせいで止まる。ああもう、早く帰りたいのに。
桜月は、転校してきてまだ2日目だってのに、もう噂の的になっていた。
つまりは、その容姿のせいで。
「だけどさー。あの沖島がひっついてんじゃん。」
「あー、奪うとかは無理だな。」
当たり前だろ。何考えてんだ、バカ野郎。奪うなんて、出来っこない。
性格は別にして、人を惹き付ける能力がある沖島相手に、勝とうなんざ・・・・
甚だしいにも、程がある。