君がいる街






「はぁ、はぁ、はぁ・・・」





これだけ一生懸命走ったのは、どれくらいぶりだろう。上がった息を整えようと落ち着かせる。



いや、そもそも何がしたいんだ俺は。




彼女に会って、一体何を言うというんだろう。そう頭で解ってはいるのに、勝手に進む足。



一歩、一歩。ゆっくり進む度に、舞う桜の花びらが俺の視界を遮って。目を細め、それらを払い除ける様に手をかざせば。




幹に頬を寄せ、目を瞑っていた彼女と、




目が、合った。





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