インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
そう聞かされてた。



実際、
監視カメラがいたるところにあった。



部屋、
廊下、
風呂場、
トイレ………



破れば、
罰が待ってた。



丸一日、
食事抜き



もっとも
食べ物は粗末で少ない




お風呂は
三日に一度。



ただし
悪魔から呼び出される日は特別。



夜、
みんな寝静まる頃、
ミシミシと廊下きしませる足音とともにやってくる。



悪魔の妻。



いつも
右足を引きずるようにして歩いていた。



目も悪いのか、
焦点が合っていなかった。



「ごめんね」



か細い声でそういうと、
悪魔に生贄として
捧げる少女を
毎晩のように連れてった。



彼女にはなんの力もなかった。



悪魔の
召し使いも同然だった。




そうなのだ。



だれも
悪魔には逆らえない。




逆らうことは
許されなかった。
< 104 / 417 >

この作品をシェア

pagetop