インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
その子は
夜になると、
いつもひとり
押し入れで泣いていた。




『その相手は王子様。ある日、白いお馬さんに乗って、あたしを迎えてきてくれるのよ』




その子は
嘘つきだといわれ
みんなの嫌われ者だった。




『それでね。王子様とあたしは恋に落ちるの。あま~いあま~いキスもするのよ』



ある朝、
その子は
押し入れのななかで死んでいた。




『そして、王子様とずっとずっと幸せに暮らすんだぁ』



なにかの病気で死んだらしいけど、

あたしは
あまりに悲しくて死んだのだといまでも思ってる。



その少女の言葉が
いまでも心に残ってる。



そして
あたしは心に誓った。



白馬に乗った王子様は無理だとしても、

いつか彼氏と行こう。




『大好きになった人とディズニーランドに行こう』




そのためには
なんとしても生き延びる



それまでは死ねない。



死にたくない。
< 110 / 417 >

この作品をシェア

pagetop