インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
けど、
そうするまでもなかった。



次の日、
あたしは犯人が
こっそりズボンのポケットにしまう現場を見た。



小さい封筒。



そして、
犯人も
あたしに見られたことに気づいた。



ぎょっとした
青ざめた顔。



なんて間抜けなやつ。



けど、
犯人は何食わぬ顔で
それを元に戻すと、
開き直ったようにいった。



「とうとうばれちゃったかぁ」



真犯人は
みゆきさんだった。



「ばればれでしょ」



まさか!?



そう思ったのは一瞬で、
なるほどこいつならやりかねないと次の瞬間には納得した。



「ていうかさぁ、見たよね、わたしのこと、渋谷で」



「え?あぁ…やっぱりそうだったんだ」



「わたしだってねえ、好きでそんなことしてんじゃないわよ」



「はぁ、そうですか…」



「男に捨てられたあげく、ふたりも子供押しつけられて、遊びにも行けなかった」



「なるほど」
< 183 / 417 >

この作品をシェア

pagetop