インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
「そんでもって借金まみれで、どうしようもない人生だった」



「それで?」



「キャバクラだって楽じゃないわよ。子持ちでバツイチ、しかも20代も半ば……」



「ふ~ん」



「若けりゃいいわよ、あんたみたいに。ただ笑って座ってればいい」



「かもね」



「わたしみたいな女はねえ、体でもなんでも使って客取らないと店にもいられないの。わかる?」



「だいたい」



「ほんと死にたいわよ。それでもわたしが見捨てたらあの子たちはいったいどうなるの?」



「さぁ…」



あたしは
フルボコの代わりに
小馬鹿にしたように
相槌をうった。



「あなたが羨ましかったのよ。若くてぴちぴちしてて。たいした苦労もしないでのうのうと生きてる」



こんなやつのために
まわりから白い目で見られたかと思うと腸煮えくりかえりだけどさ。



「まだこれから楽しいことがいっぱい待ってる。いくらでも夢をかなえられる。好きなだけ好きなことができる」
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