インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
あらいざらいなんでも、
すべてを告白できると



だけど、
やはりいえなかった。



喉まで出かかってるんだけど、
最後まで口から出ることはなかった。



あたしの
暗い過去。



すなわち
汚れた記憶………。



たけるには
話しておきたかった。



あたしのすべてを知ってほしかったから



いいことも
悪いことも
すべて。


そんなことが話せる仲かどうか、そんなことは関係ない。


たけるならちゃんと耳を傾けてくれるし、どんなことでもしっかり受け止めてくれる。



そう思った。



そして
そうすることで
乗り越えられるような気がした。



全部とはいわないけど
忘れられるような気がした。



でも、ダメだった。



「じゃあ、明日また来るよ」



そう言い残して、
たけるは帰っていった。



病室に戻って
濡れた服を脱ぎ、
病院着に着替えた。



「お兄ちゃんと一緒だったんですか?」
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