インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
「はい、この話はこれで終わり」



特に
ほしいものはない。



してほしいことも……



いや、
ないこともないか……



ただひとつだけ……



聞いてほしいことがある。



これはだれでもいいってわけにはいかない。



「じゃあさぁ、あたしの話を聞いてくれないかな……」



あれだけ楽しんだ後に、
こんな話をするのはどうかと思った



気に滅入りそうな話を、
耳を塞ぎたくなるような打ち明け話を

こんなときにと。



「昔話なんだけどさ……」



それは死んでもいえない。



口が裂けてもいいたくない。



以前は、
そう思ってた。



死ぬまで、
だれにも気づかれないよう
隠して生きていこう。



だけどそれが、
その考えが、
たけるに出会って変わった。



付き合ってるわけでもなければ、
あたしに気があるわけでもない、
たける。
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