インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
ひかりはそのときのことを思い出してか震えが止まらないようだった。



「兄がいるとこなんて、もう戻りたくありません」



とにかく
落ち着かせようと思った。



「それで、夕飯はぁ?」



「まだです……」



「だと思った……」




牛丼。



ラップにして
一人前取ってある。




レンジで
チン!



「ハイ、どうぞ~」



あとは、
豆腐にワカメの味噌汁と
レタスとコーンの即席サラダ。



「うわぁ~おいしそ~。いただきま~す!」



ひかりが
牛丼をひと口
パクリ。



「お~、おいし~の10倍くらいおいしいです~」



それから、
ひかりにしては
豪快な食べっぷりを見せると、
あっという間に完食した。



それで
だいぶ元気になったみたい。



「食器くらい洗わせてください」



むしろ、そういってキッチンに向かうひかりの背中が心なし楽しそうに見えた。
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