私があなたに恋した理由
1番後ろの席の君
あれ?また目が合った。
ここのところクラスのあいつとよく目が合う。
別に見てる訳じゃない。
視線を感じるから、教室の1番右後ろの彼の席を振り返るだけ。
とくに話したこともない。
初めてクラスに入った時に挨拶をしたぐらい。
いつもと変わらない授業。
いつもと変わらない彼の視線。
…なはずだけど今日は何かが違った気がした。
あ…笑った?
彼は私を見てふわりと笑う。
すごく優しい笑顔で。
人気者の彼の笑顔を見るのは珍しい訳じゃないんだけどね、
こんなに優しく笑う彼は初めてだった。
授業終了のチャイムが鳴って生徒たちが騒ぎはじめた。
私はいつもと同じように鞄から本を取り出して読もうとした。
「ねぇ、その本、俺も好き」
私は驚いて顔をあげる。
目の前には優しい笑顔の彼が立っていた。
なんだろう…胸がキュッとなる。
きっと話したこともない彼が目の前にいるからだ。
そうだ!彼に聞いてみよう
「どうしていつも私を見てるの?」
彼はちょっと困ったような笑顔で私にこう言った。
「…気付いたら君を見てた」
………ドキドキする。
ねぇ、神様。
これが恋ってやつですか?
*
1番うしろの席の君