私があなたに恋した理由
ホイッスル
どうしよう…ほんとに来ちゃったよ…
やっぱ帰ろうかな?いや…でも…
ピピー
あ!
始まっちゃった…
なんだかんだ考えてるうちに始まってしまったサッカー部の試合。
うーん…見るしかない…よね?
なんでこんなことしてるかって?
決まってる。大好きなあいつの最後の試合だから。
別に好きできた訳じゃない。いや、そーゆうと嘘になるけど。
私だって迷ったよ…でも友達はいけってゆうから仕方なく。
あーやっぱカッコイイや
そんなこと思ってると、もうとっくに後半になっていた。ルールなんてわかんない私は何もおもしろくない。
ただカッコイイあいつを見つめて勝手に舞い上がるだけ。
今は1-1でせってるらしい。きっとあと2分くらい。やっぱりサッカーがわかんない私でも勝ってほしいと思うから。
君のシュート入りますよーに
観客席から歓声が上がった。
ふとピッチに目を落とす。
あ………入った。あいつだ。
どうしよう。願った瞬間シュートを決めた。
あいつは笑顔で仲間と抱き合ってる。それを私は戸惑いながら見てるだけ。
ピピーッ
試合終了のホイッスルが鳴り響く。
県大会出場を決めたサッカー部。ほんとよかったぁ。
選手が観客席に挨拶にくる。
あ、どうしよう目が合ったかもしれない。
あいつは柔らかい笑顔を私に向けて、口パクで
"あ り が と"
って。
見に来てよかったな。
*
ホイッスル